結婚して君は本当の彼女と向き合うことになる
結婚は赤の他人同士が同じ家に住み、家族として人生を共有するものだ。結婚前は週に何度かデートをしたり、数時間共に過ごすだけだったものが、いざ結婚となると多くの時間を共有することになる。故にそれまで見えなかった彼女の様々な側面が浮き彫りになっていく。そして初めて君は本当の彼女と向き合うことになるだろう。
例えば、いつもおしゃれで綺麗な格好をしていて、いつも君のいうことを聞いてくれる、仕事をしていて稼ぎのある女性と君とが結婚することになったとしよう。その女性は3年後には、洋服や貴金属や化粧品に金を使いすぎる、自分の意見を何も言わない、稼ぎゼロの女になっているかもしれない。家事も苦手とくれば君が一生を捧げたはずの愛すべき女性は、君が稼いだ金を使うだけの厄介者に見えてくるかもしれないな。君は見通しが甘かったと後悔することになるが、残念ながら後の祭りだ。
だがそれは彼女だけの責任ではない。逆に3年後に君は愛すべき女性から甲斐性なしと罵られ離婚届を突き付けれられるかもしれないんだからな。まぁ心配することはない。人のプロファイルなんてものはその程度の脆いものだと知っておいて損はないだろう。
君は離婚を覚悟して結婚できるか
婚前契約は二人で色々なことを話し合い、価値観をすり合わせるチャンスでもある。結婚すれば金銭感覚や趣味嗜好、親戚付き合いから性生活に至るまで、あらゆるシーンで価値観をすり合わせる必要が出てくるだろう。だからこそ結婚前に未来について二人で話し合っておくことは意義のあることだ。
婚前契約は結婚前の彼女と結婚を前提にじっくりと話し合える最初で最後のチャンスだ。婚前契約を交わす過程では互いの人間性を深く理解できるだけでなく、互いを尊重する念も生まれてくる。二人が作ったルールは結婚生活という長い航海の羅針盤となるだろう。
万一、離婚問題に発展するようなことがあっても、感情論は二の次となり冷静に解決に向かう助けとなってくれるはずだ。これから結婚する者に離婚の話はしないでほしいって?…残念ながら君たちが離婚しない保証はどこにもない。これから結婚する君たちに求められるのは現実を受け入れる覚悟だけだ。君たちが覚悟すれば、そこに強い絆が生まれる。婚前契約がそのためのツールであるなら活用しない手はないだろう。
もっとも婚前契約は法的効力を持った契約であるが故に、内容によっては互いの自由を縛ってしまうデメリットもある。内容は二人の合意で見直しできるとはいえ、互いの自由と権利が尊重された契約でなければ窮屈な思いをするかもしれないな。契約のベースはもちろん二人で作るべきだが、二人の自由と権利が最大限に担保されているかの判断は法律家の専門領域だ。その道のプロが婚前契約書を二人だけのバイブルに昇華させてくれるだろう。